Column

社員のメンタル不調に気づいたら
──会社がやるべきこと、やってはいけないこと

産業保健コラム

「最近、あの社員の遅刻が増えた」「ミスが目立つようになった」「表情が暗い」——中小企業では、経営者や管理職がこうした変化に最初に気づくことがほとんどです。そのとき、どう動くかで本人の回復も、会社のリスクも大きく変わります。この記事では、気づいたときの声のかけ方、やってはいけない対応、休職から復職までの流れを、産業保健師の視点で整理します。

不調のサインは「いつもとの違い」に出る

メンタルヘルス不調は、本人が「大丈夫です」と言っているうちに進むことが多く、先に行動へ表れます。次のような「いつもとの違い」が2週間ほど続いたら、気にかけるサインです。

気づいたら、まず「声をかける」

特別な技術は要りません。「最近眠れてる?」「少し疲れてるように見えるけど、大丈夫?」——事実ベースで、心配していることを伝えるだけで十分です。大切なのは次の3つ。

やってはいけない対応

NG対応なぜダメか
放置する「そのうち戻るだろう」で重症化。安全配慮義務の観点でも最悪の選択
素人診断「うつっぽいね」「気の持ちようだよ」——決めつけも励ましも、本人を追い込む
無理な聞き出し「何があったのか言いなさい」と詰めるのは逆効果。話すかどうかは本人が決めること
いきなり処遇の話不調の最中に異動・退職の話を切り出すと、回復を妨げ、トラブル(不当扱いの争い)にもなりやすい
ポイント:会社に求められるのは「治すこと」ではなく、早く気づいて、適切につなぎ、働き方を調整すること。役割を分けて考えると、管理職の負担もぐっと軽くなります。

休職から復職まで──大まかな流れ

療養が必要になった場合は、おおよそ次の流れになります。あらかじめルールを決めておくことが、本人にも会社にも安心材料になります。

  1. 主治医の診断書をもとに休職開始休職期間・給与や傷病手当金の扱い・連絡方法(誰が・どのくらいの頻度で)を本人と確認します。療養中の過度な連絡は控えます。
  2. 療養に専念してもらう復職を急かさないこと。回復の途中で焦って戻ると、再発・再休職につながりやすくなります。
  3. 復職の判断は「主治医+会社側」で主治医の「復職可」の診断書に加え、産業医や保健師の意見も聴き、業務がこなせる状態かを会社として判断します。生活リズムが整っているかが目安です。
  4. ならし勤務から始める短時間勤務・業務量の軽減・残業なしなど、段階的に戻す計画(復職支援プラン)を立てて実行します。
  5. 復職後もフォローを続ける復職はゴールではありません。最初の数か月は面談を定期的に入れ、無理が出ていないかを確認します。

※ 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」に沿った基本の流れです。就業規則の休職規定と合わせて運用します。

いちばんの対策は「不調者を出さない職場」

個別対応と同じくらい大切なのが、一次予防——つまり不調者が出にくい職場をつくることです。長時間労働の是正、業務量の偏りの解消、相談しやすい雰囲気づくり。ストレスチェックの集団分析は、そのための「職場のどこに負荷がかかっているか」を見つける道具になります。

genba oh の考え方

genba oh は、不調者対応の初動相談から、休職・復職ルールの整備、再発しにくい職場づくりまで、産業保健師が実務に沿って伴走します。「誰に相談したらいいか分からない」をなくすことが、中小企業のメンタルヘルス対策の第一歩だと考えています。

ひとりで抱えないでください。

「今まさに対応中で困っている」「ルールを整えておきたい」——どちらの段階でも大丈夫です。状況をうかがって、産業保健師が具体的な進め方を一緒に考えます。
ご相談は無料です。

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